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INFα、β、γとは?

インターフェロン(IFN: interferon)の誤植ではありませぬ。れっきとした病理用語、組織学的浸潤増殖様式(INF: infiltration)のことでした。

過去形で書いたのは、これが2011年の腎癌取り扱い規約第4版改訂時に、他臓器の表記と統一するためINFa、b、cに変更されたそうなので。

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http://plaza.umin.ac.jp/~csp/CASE/S106/kuroda.pdf

なんで腎癌だけ別表記を使ってたのかも気になるけど、やっぱりIFNと紛らわしかったんじゃないんですかね?

腎臓触診法の一種Guyon法とは?

フランスの外科医Jean Casimir Félix Guyon (21 July 1831 – 2 August 1920)によって編み出された触診法で、これによって見出される腎臓の浮球感(ballottement of the kidney)をGuyon’s signと名付けたそうな。

「腎臓の浮球感」てつまりどういうことかとStedman's Medical Eponymsを見てみると、

Guyon’s sign- ballottement of the kidney in case of nephroptosis, especially when there is also a renal tumor. 

とあり、要するに癌などの腫瘤ができて、腎臓がブラブラしてることなのかと。

「腎臓がブラブラ」?

ちょっと待て。確かうちの卒業試験では、Guyon法は仰臥位で行うことを問われていたはず(わざわざ「ぎょうがいだからぎよん」という語呂まで考えた)。側臥位ならまだしも、仰臥位でどうやって「腎臓がブラブラ」を触診できるのか?

腎臓の触診について懇切丁寧なサイトによれば、腎臓の触診は仰臥位と立位で行うようである。

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In contrast to other organs, an enlarged or ptosed kidney can be Ex­amined by ballottement (Guyon's sign): the right hand feels the kidney while the fingers of the left hand strike rapidly the lumbar region in the angle between the costal arch and the longissimus thoracic muscles: the fingers of the right hand feel vibration of the kidney.

また、上記のようにGuyon’s signの取り方は、右手を腎臓に当てて、肋骨角と胸最長筋(脊柱起立筋の一つ)の間に左手の指を勢いよく入れると、右手の指に腎臓のブラブラを感じる、といったものらしい(手が左右逆だけど恐らく写真2a、2b)。それこそいよいよ仰臥位では難しいと思うので、調べれば調べるほどラビリンス感増したところで諦めようかと思います。

もしどなたか、よくご存知の方居られましたらご教授の程よろしくお願いいたします。

児童虐待の種類別相談件数の比率は?

年々、比率が変化してきている。

厚労省の統計によると、平成21年度は相談件数44,211件の39.3%を占める身体的虐待が最も多かった

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これに対し、平成26年度は倍増した相談件数88,931件の43.6%を心理的虐待が占めて最多となった。

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たった5年の間に急激に虐待の質が変わったとは考えにくいため、相談に至る閾値が低くなった分、これまで隠れていた心理的虐待が表に出てきたということだろう。

てことは、これから先は比率が多少変化したとしても、順位が入れ替わる可能性は低そうやな。

インフルエンザ菌はカタラーゼ陰性菌なのか?

慢性肉芽腫症患者が感染しても問題にならないカタラーゼ陰性菌として、溶連菌と肺炎球菌が代表的だが、それ以外にインフルエンザ菌もカタラーゼ陰性なのでは、という情報をキャッチして調べたところ、イングランド公衆衛生サービスが素敵な表を公開されとりました(2015年版、p.22)。

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インフルエンザ菌(学名Haemophilus influenza)はカタラーゼ陽性。しかし他にも同じHaemophilus属の菌が8種ほど存在していて、陽性もあれば、陰性もあり、variableなのもありと。このあたりがキャッチした噂の出処か?

つまるところHaemophilus属に対しては一概には言えないけど、少なくともインフルエンザ菌に対しては慢性肉芽腫症は脆弱である。

先天性風疹症候群において口唇裂とFGRはどちらが頻度が高いのか?

カナダ産婦人科学会のガイドライン(2008年版)p.154を見てみると、妊娠後期の感染でFGR(胎児発育不全)について明記が。

Therefore, the risk of congenital defects after maternal infection is essentially limited to the first 16 weeks of gestation. Little, if any, risk of CRS is associated with infection beyond 20 weeks, and FGR seems to be the only sequela of third trimester infection.7–17 Periconceptual maternal infection does not seem to increase the risk of CRS.

この引用の趣旨は、「いわゆる先天性風疹症候群(CRS)に特徴的な白内障や両側難聴、先天性心疾患は、妊娠16週までの感染で危険性が高いけど、20週以降の感染なら見られるのはFGRくらいかね」という雰囲気なので、印象としてはFGRは見られて当然と受け取れる。

一方の口唇裂については、口唇口蓋裂に関して辛うじて2件ヒットはあったものの、症例報告はつまりそれほど珍しいということを暗に語っているし(そして古い、1988年)、研究緒についたばかりといった印象(これも古い、1973年)。

これはFGRに軍配で良いでしょう。

21-hydroxylase欠損副腎皮質過形成に低血糖は起きるか?

イメージとして、本来ならアルドステロンやコルチゾールに合成されるはずだった材料が全て性ホルモンへと注ぎ込まれる訳なので、コルチゾール不足から低血糖症状を起こしても不思議ではないように思う。

ただ、難病情報センター(2014年更新)の症状欄を見ても分かるように、低血糖は症状として表立っていない

酵素障害により17‐OHPが蓄積し,これがP450cl7(CYP17)によ り△4アンドロステンジオン,更にはテストステロンに代謝され,過剰な副腎アンドロゲンが分泌される。この過剰な副腎アンドロゲンによって,出生時より女児において陰核肥大,陰唇の癒合などの外陰部の男性化が起こる。一方,男児において外陰部は正常であるが,成長促進, 早期の男性化を起こす。

塩喪矢型は,上記男性化以外にアルドステロン合成不全により低Na血症,高K血症,循環不全を示す重症型で,早期の治療が必要 となる。単純男性化型は塩喪失症状を伴わないものである。遅発型は,出生時には無症状であるが,その後に早発恥毛,成長 促進,特に女性では男性化,生理不順などの症状を呈する。

この理由として思うに、血糖を上昇させる他の調節機構による代償のためかと。これぞ内分泌の妙味?

重症度分類にはしっかり「低血糖症状」が入っていて、その場合は副腎不全という別の病態として扱うため、典型的な21-hydroxylase欠損副腎皮質過形成の主症状に低血糖は含まれない、という理解で良いのでしょうか。

【重症度分類】

以下の4項目のうち、少なくとも 1項目以上を満たすものを対象とする。

1)「血中コルチゾールの低下を認める」血中コルチゾール基礎値4μg/dL未満

2)「負荷試験への反応性低下」迅速ACTH負荷(250μg)に対する血中コルチゾールの反応:15μg/dL未満

3)「何らかの副腎不全症状がある」以下に示すような何らかの副腎不全症状がある。
・特徴的な色素沈着
・半年間で5%以上の体重減少
・低血圧
・脱毛
低血糖症
・消化器症状(悪心、嘔吐など)
・精神症状(無気力、嗜眠、不安など)
・関節痛
・過去1年間に急性副腎皮質不全症状に伴う入院歴がある

4)ステロイドを定期的に補充している者

小児腸重積症における年長児とは?

エビデンスに基づいた小児腸重積症の診療ガイドライン(2012年版)CQ5(p.14)には、

 病的先進部による腸重積症の発症頻度は,1歳以下で5%前後と考えられ,その頻度は年齢とともに高くなり,5歳以上の年長児では約60%と高くなる。

とある。手元のyear note 2016 A-144には、器質的(ガイドラインの「病的」と同義とする)病変は3歳以上に多いとある。

うちの卒業試験過去問では、2歳に年長児か否かのラインが引かれ、「器質的病変による腸重積症は2歳未満では少ない」ということになっていた。

 あり得ないけど、もし線形に器質的が増加するとすれば、(60-5)/(5-1)=13.75%/yearの割合になるので、半数を超えるのはだいたい4歳3-4ヶ月くらいの頃。2歳ではせいぜい18.75%程度だから、まあ余裕をもって少ないと言えるという感じでしょうか。