第24章 麻酔のリスク

p705: 麻酔に伴う死亡率は1987年の周術期死亡に関する秘密調査Confidential Enquiry into Perioperative Deaths (CEPOD)では1/185,000症例であるが,約30年前のBeecherとToddの報告では1/2,680症例 麻酔に関連した死亡 p707: 死亡率はASAの身体状態Physial S…

偽性アルドステロン症の機序は?

我らがバイブル、year note 2016 D-74より 腎型11β-HSD2の阻害によりコルチゾールからコルチゾンへの不活化が阻害される.このためミネラルコルチコイド受容体に結合するコルチゾールが増加,原発性アルドステロン症と同様の徴候を示す. と、しっかり記載さ…

ACTH値が不明でもCushing症候群を鑑別できるか?

Cushing症候群を見たら、まずは下垂体性か非下垂体性かを鑑別するためにACTH値に飛びつきたくなるようなもんだが、さてここで次の問題。 28歳の女性.1年前から徐々に進行する中心性肥満,顔面の多毛症,高血圧を認めている.身長154cm,体重64kg,BMI27.0,…

17α-水酸化酵素欠損症でアルドステロンは上昇するか?

難病情報センターの代謝マップを拝借いたしますと、 17α-水酸化酵素(P450-17α)を欠損していると、ステロイドホルモン合成の流れが図の右方へ行かなくなるので、図の下方へ流れてアルドステロン合成過剰となり、低カリウム性高血圧になる。 と単純に思ってい…

Cushing症候群では免疫グロブリンは低下するか?

まずは手持ちのyear note 2016 D-67を見てみると、Cushing症候群、つまり慢性的なグルココルチコイド過剰では、白血球上昇がみられ、その分画は好中球メインであって、リンパ球と好酸球は低下、とある。 免疫グロブリン(Ig)はB細胞が作るわけだから、リンパ…

食塩感受性とは?

東大名誉教授の資料によると、 1)腎内レニン-アンジオテンシン系亢進が近位尿細管のAT1受容体刺激、 2)腎交感神経活性亢進が遠位尿細管のGR-WNK4-NCC系亢進、 3)Rac1-MR系異常活性化が集合管のENaC(上皮性Naチャネル)活性亢進 の三つの異なる機序によってNa…

受傷後早期にハローベストを施行するか?

まずは雪山滑太さんの体験談をお読みくだされ。 決して典型的な頚椎損傷の現病歴ではないが、その治療経過や心理模様を詳細に物語っている。 雪山さんも装着されているハローベストとは、こういうものである。 雪山さんは、直達牽引を施行された後にハローベ…

脂肪塞栓の診断基準の有用性は?

診断基準がいくつかあるので並べてみましょうか。 鶴田の診断基準(1986) Gurd(とWilson)の診断基準(1974) この2つが日本で使われてる二大巨頭。ついでに他にも出てきた。 Schonfeldの診断基準(1983) Lindequeの診断基準(1987) もはや雨後の筍状態。そしてど…

後縦靭帯骨化症は遺伝病か?

後縦靭帯骨化症(OPLL)に関して難病情報センターによれば、 OPLLの病因に関して多くの説があるが、現在のところ不明である。全身的骨化素因、局所の力学的要因、炎症、ホルモン異常、カルシウム代謝異常、糖尿病、遺伝、慢性外傷、椎間板脱出、全身的退行変性…

頸髄損傷C7レベルにて自動車運転は可能か?

慶応義塾大学病院が提供するKOMPASによると、頸髄損傷C7レベル、つまりC6温存では更衣、自己導尿、ベッドと車いすの移乗、車いす駆動、自動車運転が可能とのこと。 補助具は必要ながら、C6温存の患者が運転している動画をyoutubeで視聴できる。 自動車運転が…

関節リウマチの疾患活動性指標にSteinbrockerのClass分類は含まれるか?

関節リウマチ(RA)に詳しい大阪大学免疫アレルギー内科のサイトを参考に、RAの評価指標をざっくり分けてみると以下のようになる。 病期分類として、SteinbrockerのStage分類とLarsenのX線のGrade分類はX線所見で分類、SteinbrockerのClass分類は生活における…

下垂足と尖足の違いは?

どちらも足が底屈位になっているという点で、よく似ている。 下垂足について日本整形外科学会の解説をみてみると、 足首(足関節)と足指(趾)が背屈で出来なくなり、下垂足(drop foot)になります。 (中略) 膝関節の後方で坐骨神経から腓骨神経が分岐し、…

自律神経過緊張反射とは?

脊髄損傷における排尿障害の診療ガイドライン(2012年版)CQ40によると、 自律神経過緊張反射(autonomic hyperreflexia,autonomic dysreflexia)は,主としてT5~6レベルより高位の脊髄損傷患者にみられる自律神経の異常反射で,麻痺部に生じるさまざまな刺…

膀胱尿管逆流の術式は?

探せば良い絵が落ちてるもんです。全て画像はこちらから。 (上)Politano-Leadbetter法: 元の尿管口より近位に切開を入れ、その穴から切離した尿管を挿入、粘膜下のトンネルを通して、元の尿管口に繋ぐ。 (上)Glenn-Anderson法: 膀胱に外切開入れずに尿管を膀…

橋排尿中枢より上位の障害で排尿筋-尿道括約筋協調不全は起きるか?

蓄排尿に関わる神経核は高位から、大脳、橋排尿中枢(PMC: pontine micturition center)、胸腰髄核(副交感神経)、仙髄Onuf核(交感神経)の4つで構成。 蓄尿時は、大脳ー(抑制)→PMC---仙髄Onuf核からの陰部神経→内尿道括約筋収縮 排尿時は、大脳---PMCー(興奮)→…

INFα、β、γとは?

インターフェロン(IFN: interferon)の誤植ではありませぬ。れっきとした病理用語、組織学的浸潤増殖様式(INF: infiltration)のことでした。 過去形で書いたのは、これが2011年の腎癌取り扱い規約第4版改訂時に、他臓器の表記と統一するためINFa、b、cに変更…

腎臓触診法の一種Guyon法とは?

フランスの外科医Jean Casimir Félix Guyon (21 July 1831 – 2 August 1920)によって編み出された触診法で、これによって見出される腎臓の浮球感(ballottement of the kidney)をGuyon’s signと名付けたそうな。 「腎臓の浮球感」てつまりどういうことかとSte…

児童虐待の種類別相談件数の比率は?

年々、比率が変化してきている。 厚労省の統計によると、平成21年度は相談件数44,211件の39.3%を占める身体的虐待が最も多かった。 これに対し、平成26年度は倍増した相談件数88,931件の43.6%を心理的虐待が占めて最多となった。 たった5年の間に急激に虐待…

インフルエンザ菌はカタラーゼ陰性菌なのか?

慢性肉芽腫症患者が感染しても問題にならないカタラーゼ陰性菌として、溶連菌と肺炎球菌が代表的だが、それ以外にインフルエンザ菌もカタラーゼ陰性なのでは、という情報をキャッチして調べたところ、イングランド公衆衛生サービスが素敵な表を公開されとり…

先天性風疹症候群において口唇裂とFGRはどちらが頻度が高いのか?

カナダ産婦人科学会のガイドライン(2008年版)p.154を見てみると、妊娠後期の感染でFGR(胎児発育不全)について明記が。 Therefore, the risk of congenital defects after maternal infection is essentially limited to the first 16 weeks of gestation. Li…

21-hydroxylase欠損副腎皮質過形成に低血糖は起きるか?

イメージとして、本来ならアルドステロンやコルチゾールに合成されるはずだった材料が全て性ホルモンへと注ぎ込まれる訳なので、コルチゾール不足から低血糖症状を起こしても不思議ではないように思う。 ただ、難病情報センター(2014年更新)の症状欄を見ても…

小児腸重積症における年長児とは?

エビデンスに基づいた小児腸重積症の診療ガイドライン(2012年版)CQ5(p.14)には、 病的先進部による腸重積症の発症頻度は,1歳以下で5%前後と考えられ,その頻度は年齢とともに高くなり,5歳以上の年長児では約60%と高くなる。 とある。手元のyear note 2016 …