下垂足と尖足の違いは?

どちらも足が底屈位になっているという点で、よく似ている。

下垂足について日本整形外科学会の解説をみてみると、

足首(足関節)と足指(趾)が背屈で出来なくなり、下垂足(drop foot)になります。

(中略)

膝関節の後方で坐骨神経から腓骨神経が分岐し、腓骨神経が膝外側にある腓骨頭の後ろを巻きつくように走行します。その部は、神経の移動性が乏しく、骨と皮膚・皮下組織の間に神経が存在するため、外部からの圧迫により容易に麻痺が生じます。

とある。上記引用の「腓骨神経」とは、総腓骨神経を指すと思われる。

基本的なこととして、足関節を背屈させる筋肉である前脛骨筋は、坐骨神経の1枝である総腓骨神経から分枝した深腓骨神経筋枝で支配されている。こちらの絵を見ると分かるが、ちょうど分枝するかしないかの総腓骨神経が腓骨頭の外側を回り込んでいて、正座や足を組むなどすれば圧迫されて麻痺することは想像に難くない。

つまり下垂足は腓骨神経麻痺による神経性障害である。

一方、尖足こちらに詳しい。

一般に尖足の原因としては,1. 不良肢位に長時間おかれた静力学的変形,2. 下垂足を含む麻痺性尖足などの筋力不均衡,3. 骨関節由来によるものなど多々挙げられる(表1).

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尖足って色んな原因があるんですね。

てっきり尖足はアキレス腱や腓腹筋の拘縮で足が底屈位に固定される可動域障害のみで起こると思っていたのだが、上記引用を見て衝撃尖足の原因にはっきりと下垂足が含まれているではないか。そもそもこの報告は、圧迫によって起きた腓骨神経麻痺が原因で尖足になった患者に対し、拘縮してしまったアキレス腱を延長させる手術を施行したというものである。

確かに慢性的に総腓骨神経が麻痺すれば、足関節を底屈させる腓腹筋やその腱であるアキレス腱は収縮したまま廃用的に拘縮してしまうと考えらえる。

下垂足と尖足は全く別物と思っていたが、実は密接な因果関係にある両者だったのでした。