頸髄損傷C7レベルにて自動車運転は可能か?

慶応義塾大学病院が提供するKOMPASによると、頸髄損傷C7レベル、つまりC6温存では更衣、自己導尿、ベッドと車いす移乗車いす駆動、自動車運転が可能とのこと。

補助具は必要ながら、C6温存の患者が運転している動画youtubeで視聴できる。

自動車運転が可能なことは分かったが、意外と複雑なのが移乗で、ベッドと車椅子間の移乗はC6温存で可能だが、車椅子間の移乗はC7温存でやっと可能となる。

下半身が麻痺している頸髄損傷において、移乗には上肢の力だけが頼りである。アームレストを乗り越えなければばらず、寄せるにも車輪があって制限のある車椅子間の移乗では、上腕の屈筋だけでなく伸筋による拮抗が体勢を保持するために必要なのだろう。

最も複雑なのは自己導尿である。先の引用では簡単に書いてあったが、実は自己導尿可能レベルには性差がある。

脊髄損傷における排尿障害の診療ガイドライン(2011年版)CQ13によると、

CQ13 脊髄損傷患者の自己導尿可能な麻痺レベルは?

運動機能が完全麻痺の男性頚髄損傷患者では,残存上肢機能が改良 Zancolli 分類にて C5B,同様に女性頚髄損傷患者では,ベッド上開脚位であれば C6B1 までなら実施できる可能性がある (それぞれ,左右差がある場合は下位のレベルにて).(推奨グレード C1)

改良Zancolli分類は下表のとおり。

f:id:lalabow:20161118194025j:image

C5Bは上腕二頭筋C6B1(I)は手根伸筋温存らしい。筋肉の起始・停止が一覧になってるアンチョコを置いておこう。

これはやはり男性の方が外尿道口を視野に収めやすく、かつ引き寄せられるという構造的差異に起因するのだろうか。