受傷後早期にハローベストを施行するか?

まずは雪山滑太さんの体験談をお読みくだされ。

決して典型的な頚椎損傷の現病歴ではないが、その治療経過や心理模様を詳細に物語っている。

雪山さんも装着されているハローベストとは、こういうものである。

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雪山さんは、直達牽引を施行された後にハローベストへと移行しておられたが、初期治療でいきなりハローベストがあり得るかが疑問だった。

頚椎損傷についてこちらの資料には、

主損傷が骨組織か靭帯組織かによって、治療法は大きく左右されます。骨傷の中で、転位が残ってもほとんど障害のない損傷や、整復が比較的容易で骨癒合が良好な損傷(「楔状圧迫骨折」など)では、保存的治療が選択されます。整復が容易であっても骨癒合が起こりにくい損傷では、手術の適応となることが多くなります。

とあるが、

上位頸椎損傷においては、急性期において緊急手術を要することはまれ

らしく、

すべての頸椎損傷の治療は仰臥位での砂嚢固定で始まります。

とのこと。他の装具として、

簡易な頸椎カラー、フィラデル フィアカラー、オルトカラー、SOMI ブレースなどの固定力はいずれも大差はなく、主に前屈の制御目的で用いられます。さらに回旋力に対しても固定性の優れたものとしてハローベストがあります。

で、観血的治療を行うにしても、

主としてハローベストによる初期治療後の待機手術となります。

だそうなので、初期=受傷後早期のハローベスト施行はあると言って差し支えないでしょう。

ちなみに亀田メディカルセンターの資料によれば、

ハローベストによる外固定で骨癒合が得られる場合もあります

とする一方で、

早期の社会復帰を図るために後方固定術をお勧めしています。

とあり、雪山さんがあれからどうされてるか気になるところ。