21-hydroxylase欠損副腎皮質過形成に低血糖は起きるか?

イメージとして、本来ならアルドステロンやコルチゾールに合成されるはずだった材料が全て性ホルモンへと注ぎ込まれる訳なので、コルチゾール不足から低血糖症状を起こしても不思議ではないように思う。

ただ、難病情報センター(2014年更新)の症状欄を見ても分かるように、低血糖は症状として表立っていない

酵素障害により17‐OHPが蓄積し,これがP450cl7(CYP17)によ り△4アンドロステンジオン,更にはテストステロンに代謝され,過剰な副腎アンドロゲンが分泌される。この過剰な副腎アンドロゲンによって,出生時より女児において陰核肥大,陰唇の癒合などの外陰部の男性化が起こる。一方,男児において外陰部は正常であるが,成長促進, 早期の男性化を起こす。

塩喪矢型は,上記男性化以外にアルドステロン合成不全により低Na血症,高K血症,循環不全を示す重症型で,早期の治療が必要 となる。単純男性化型は塩喪失症状を伴わないものである。遅発型は,出生時には無症状であるが,その後に早発恥毛,成長 促進,特に女性では男性化,生理不順などの症状を呈する。

この理由として思うに、血糖を上昇させる他の調節機構による代償のためかと。これぞ内分泌の妙味?

重症度分類にはしっかり「低血糖症状」が入っていて、その場合は副腎不全という別の病態として扱うため、典型的な21-hydroxylase欠損副腎皮質過形成の主症状に低血糖は含まれない、という理解で良いのでしょうか。

【重症度分類】

以下の4項目のうち、少なくとも 1項目以上を満たすものを対象とする。

1)「血中コルチゾールの低下を認める」血中コルチゾール基礎値4μg/dL未満

2)「負荷試験への反応性低下」迅速ACTH負荷(250μg)に対する血中コルチゾールの反応:15μg/dL未満

3)「何らかの副腎不全症状がある」以下に示すような何らかの副腎不全症状がある。
・特徴的な色素沈着
・半年間で5%以上の体重減少
・低血圧
・脱毛
低血糖症
・消化器症状(悪心、嘔吐など)
・精神症状(無気力、嗜眠、不安など)
・関節痛
・過去1年間に急性副腎皮質不全症状に伴う入院歴がある

4)ステロイドを定期的に補充している者